【映画】なぜヒミは炎の中から顔を出したのか?──『君たちはどう生きるか』における虚構と治癒 [湛然★]
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- 投稿者:管理人 | 2023年8月26日
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1 :湛然 ★:2023/08/23(水) 06:51:37.07 ID:G2WC/Yda9.net
戸谷 洋志
2023/08/05
inquire ※抜粋
https://inquire.jp/2023/08/05/kimitachihadouikiruka/
(以下、物語の展開に触れる部分があります。ご注意下さい)
◆炎を操る少女との出会い
眞人は、幻想の世界のなかで危機に陥る。しかし、突如現れた少女・ヒミが、彼を窮地から救い出す。ヒミは炎を自由に操る不思議な力を持っていた。劇中では、炎の中から顔を出した彼女が、眞人に優し気に語りかける印象的なシーンが描かれる。やがて二人はナツコを現実の世界に連れ戻すために協力する。
炎を操る少女 ヒミ c 2023 Studio Ghibli
(※中略)ようやくヒミと再会を果たした眞人は、そこで大叔父──塔を建造し、発狂して蒸発したと言われている人物──と出会う。大叔父は眞人に対して、自分の後を継いでほしい、と懇願する。しかし、眞人はこれを拒絶し、ヒミとともに現実の世界へ帰らなければならないと告げる。二人は現実の世界へと通じる扉へ向かう。
しかし、ヒミは眞人とは別の扉に手をかける。眞人はそこで、ヒミが自分の母親であることを確信する。彼は、「そのまま行けばあなたは火事で死ぬ」と言って、ヒミを引き留めようとするが、彼女は「眞人を産めるなんて幸せなことじゃない」と言う。二人は別々の扉を開け、それぞれ別の現実へと帰還する。
眞人は、ナツコを連れて、父のもとへと帰っていく。塔を出た彼の胸には、かつてのようなトラウマはもうない。むしろ、ナツコを母として受け入れ、新しい生活を生き抜こうとする決意が、彼の表情に浮かんでいる。そのようにして物語は幕を閉じる。
(※中略)
塔に入る前、眞人はトラウマを抱えていた。彼は塔の中で異常な体験をした。そして、塔を出てきたとき、彼のトラウマは解消されていた。塔の中で起きたことが、彼のトラウマを治癒したのだ。筆者の考えでは、ここに本作の核心がある。つまり本作は、「治癒」の物語なのである。
◆トラウマからの回復
宇野常寛は、眞人の母親との関わり方のうちに、「極めて戦後的なありふれたマザーコンプレックスの発露」を見いだす。彼によればその理由は、宮崎が母親を「ヒロイン」として登場させ、「彼女に自分を産むためなら迷いなく命を差し出すと宣言させることで主人公の少年に絶対的な承認を与え」ているからだ[2]。
眞人が母親を愛していたのは事実だ。しかし、彼がトラウマに苦しめられていたのは、果たして「マザーコンプレックス」に過ぎないのだろうか。そうであるとしたら、もしもそうした執着を持っていなければ、たとえ空襲で母親を殺されても、眞人はトラウマを抱かなかったのだろうか。そんなことはありえないように思える。
物語の冒頭、母親が死ぬ場面では、何よりもその死の理不尽さが強調されている。眞人は、それまで安心していた世界を、唐突に、何の前触れもなく、奪われたのだ。彼は母親の愛に飢えていたのではない。世界の無意味な解体に苦しんでいたのである。
そうであるとしたら、彼の苦しみを救済しうるのは、母親からの「絶対的な承認」ではない。むしろ、母親の死を受け入れることを可能にするような、世界の再統合こそが必要なのである。そして、塔のなかの幻想的な体験が、それを実現したのである。
では、どのようにして世界は再統合されたのか。その鍵を握るのが、ヒミが炎を操る少女として姿を現した、ということである。眞人の母親は空襲で焼死した。その母親が、しかし、幻想の世界では炎を操っている。ここには明らかな意味の連続性がある。無意識の領域における自由な連想が、母親の死の再解釈が作用している。
新生活を始めた眞人を立ち止まらせていたのは、炎に包まれて死んでいく母親のイメージだった。しかしヒミは、まったく同じ構図を取りながら、炎の中から顔を出し、眞人に微笑み、語りかける。前者は後者に取って代わられる。それによって彼はトラウマから解放されていくのである。
彼女の炎は眞人を救う。あるいは眞人は彼女を救出するために幻想の住人と戦う。そのようにして、反復するトラウマは新たな意味を獲得し、刷新されていく。そしてそれは、受け入れられる物語へと変容し、世界は再統合されていく。それが、幻想の世界で描かれる、眞人の治癒のプロセスなのである。
(※以下略、全文は引用元サイトをご覧ください。)
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